蓬門

世の隅でコソコソと蠢く

木崎ひろすけ

 久しぶりに良質な漫画を発掘。といってもネットで他人の批評を見ていて見つけたのですが。作者は表記の通り、木崎ひろすけ氏。5年以上前に亡くなったそうだ。書評を見ても、儚いといった印象が多い。夭折の天才漫画家といった煽りのためかと思ったが、実際に取り寄せて読んでみると、確かに儚さを感じざるを得ない。作品に儚さというものが内在している、そんあ印象でした。
 画力、構成力、世界観、キャラクタ etc.どれをとっても一級の作品ばかりだった。しかし残念なことに、すべての作品が未完に終わっている。本当に、驚くほど話が突然途切れている。氏が亡くなった後、愛蔵版として3冊が発刊されたが、すべてが読者を世界に引き込んで、そして唐突に世界は終わる。読者としては虚無感に襲われるばかりだ。
 作品はすべて一読の価値がある、しかし未完であるがゆえに、しかも作者がなくなっている以上、続きを読むことはかなわない。もどかしさに支配されるばかりである。