蓬門

世の隅でコソコソと蠢く

懐かしき小学校の遊具

ふと小学校にあった遊具が懐かしくなった。
それは「トンボ」と呼ばれていて、今では迫害されて見られなくなった回転遊具の一つだった。
一般的には回転シーソーと呼ばれているようだが、私の小学校にあったそれは、一般的なものよりも高さが低かった。
当時から危険であるという理由で3年生だったか、5年生だったか、それ以上の学年にならないと使用できなかった。
時折けが人が出て、何度か使用禁止になっていた。その後は決まって使用方法のレクチャーがあり、利用が解禁された。
自分が思い返しても、ニュースで取り上げられる回転遊具が可愛らしく思えるほど、常軌を逸した、過激な遊具だった。

構造は高さ1mほどの鉄柱の上に、長さ2mほどの梯子をシーソーのように載せた形で、梯子部分はよく回転する。
梯子の端の部分を二人分かれてしっかりと掴み、できるだけ勢いをつけて回転させる。
ある程度の勢いに達したところで、二人息を合わせて足を離すと、遠心力で体は宙に浮かぶ。
浮遊感とスピード感と遠心力を感じられる、非常にスリリングな遊具だ。
遠心力に負けて手を離せば、手を離した人間は吹き飛ばされ、残された人間は重力に引き寄せられて地面あるいは支柱にぶつかる。
こうして説明を書いていても狂ってるとしか思えない過激さであり、しかし、あのスリルは忘れられない快感でもある。

小学校から撤去されて久しく、痕跡はすでにない。しかし、その濃い影は確実に私の脳裏に残っている。