蓬門

世の隅でコソコソと蠢く

「イエスタデイをうたって」が完結 - 今週のお題「人生に影響を与えた1冊」

 冬目景作「イエスタデイをうたって」がついに完結した。実に18年もの連載期間で「ありながら、単行本はわずか11冊という、なんとも気が長い連載だった。掲載誌の休刊を乗り越えながら、この作品を最後まで連載を許可した編集部には拍手を送りたい。


 この作品と出会ったのは、漫画を買うようになって数年たった中学生始めのころ。まだ単行本1巻が出るか出ないかのころだった。今は無きビジネスジャンプで連載していた。

 冬目景は、当時モーニングで「黒鉄」、バーズで「羊のうた」も連載していて、一般にはマイナーながら漫画好きにはメジャーになったころだったと思う。

 中学生だった私は、安西ひろこのグラビアに惹かれて買ったBJに掲載されていたのが目に付いた。掲載されていた作品の中でも、アナログな感じの柔らかな描線は、私には非常にインパクトがあり、美しい絵柄の虜になった。月の小遣いで遣り繰りしていた中学生の私には、他の作品を買う財力は無かったが、刊行ペースの遅い「イエうた」は欠かさず買うようになった。以来18年、高校・大学・社会人と私が買う漫画ではもっとも長い付き合いだ。


 思えば、中学のときに買ったあのBJに載っていた「イエうた」ともう一つの作品は、私の漫画趣味を方向付ける、非常に大きな存在だった。週刊少年ジャンプ・マガジン・サンデーといったメジャー誌以外にも様々な漫画誌が存在し、そこで掲載される作品にも素晴らしい作品があることを気づかせてくれた。漫画の世界はとても広いことを教えてくれた。私の漫画趣味を豊かにしてくれたことに感謝したい。