蓬門

世の隅でコソコソと蠢く

映画ではない世界

おくりびとののオスカー受賞で、世間では人間の死にかかわる職業に対して、随分と印象が変わったようだ。現代ではそんなこともないだろうが、昔は荼毘に付すことは穢多や非人と呼ばれた人たちの仕事でした。*1それほど忌み嫌われていた仕事も、映画で取り上げられればきれいに見える仕事。世間の認識など移ろいやすいものですね。
しかし、取り上げられない部分もある。それが今回取り上げたい内容。
おくりびとに取り上げることができない世界も当然ある。遺体が腐敗してれば、死化粧もできない。部屋には汚染痕となって残る。そんな死に様も当然ある。そんな作業に従事する人のブログがある。初めてこの仕事について知ったときは、衝撃的だった。自分のうっすらと気づいていたかもしれないが、そのことに気づかなかった、世間の影に隠れた世界を見せられた気がした。しかし読んでみると、普通の人では続けられないような仕事に、気落ちすることもありながらも取り組む筆者の姿がある。仕事観について目の覚める思いがした。
映画ではおくりびとの仕事を、人の忌避する仕事として紹介していた。しかし、世の中にはそれ以上に凄まじい世界がある。映画などのメディアで取り上げられるものが最も厳しい部分ではない、どんなに辛かろうとそれしかないと仕事に取り組む人もいる、そんなことに気づかせてくれる良いブログなので、紹介した次第。
key:特殊清掃

*1:そのように呼ばれていた歴史的な事実に基づき取りあえげています。差別的な意図はありません